ジャズ喫茶という不思議な存在

1950年代の終わりから、東京等の都市には、ジャズのレコード(多くはモダン・ジャズのレコード)を掛け、世の中にこれほど不味いコーヒーをどうやって作るのか考えてしまう「ジャズ喫茶」なる不思議な店があった。
大抵は、大学生がたむろしていて、室内の照明は暗く、異様な雰囲気を誇っていた。
こう悪口を言う私も、高校生の終わりくらいからいくつかの店に行っていたが、大学卒業後はほとんど行かなくなった。
自分でレコードが買えるようになったので、あんなところで不愉快な思いをしてレコードを聞く必要がなくなったからである。
要は、若者がレコードが高くてよく買えなかったことに立脚したビジネスだったわけだ。
日本の経済の成長と共に消滅したのは当然なのである。
文化的に意味があるとすれば、相対的に日本の洋盤レコードが外国に比較して高価だったことの証拠の一つとしてだろう。

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