『団地親分』

1962年の松竹京都作品、喜劇と名乗っているが、センスが古くて参るが、テンポはあるので、見られる。監督は、市村泰一。関西と東京の喜劇人協会の合同作品となっているが、実際は、関西喜劇人協会会長伴淳三郎のものだろう。
伴淳は大阪のヤクザの親分で、多くの子分を抱えているが、東京の大学に行っていた娘の環三千代が急に戻って来る。原因は、東京の検事森繁久彌の息子佐々木功と恋仲になったが、「親がヤクザなので結婚はダメ」と悲観して戻ってきたのだ。

そこで、伴淳はヤクザを辞め、子分もクビにして、大阪の団地に住む。そこはどこか分からないが大きなところである。芦屋雁之助と小雁の兄弟は、テレビ局で暴力事件を起こして留置所に入れられ、そこでペテン師の渥美清に会う。

団地には、「文化人協会」というものがあり、インチキくさい自称文化人がサロンを作っている。これは、関西の団地に実際にあった文化サークルをモデルにしているらしい。

そこには、不動産屋の立原博も参加していて、団地内にデパートを建てようと目論見、文化人の賛同を得る。環三千代は、地元の幼稚園で働いていたが、さらに保育園を作ろうと計画する。

伴淳は、環のために、文化人たちは計画する開発の手助けをすることになるが、その場所には百姓の花菱アチャコがいて、土地を売らない。伴淳は、アチャコと交渉して話をまとめるが、この二人のやりとりは、さすがにおもしろい。アチャコは、芝居が非常にうまいのである。

ところが、この立原たちはインチキな連中で、土地をだまし取って不動産屋に売ろうとしていて、そこに最後に現れるのが、ペテン師の渥美清だった。

もちろん、最後は全部バレて、土地にはアチャコの好意で、保育園ができるところでエンド。

これを見ていて、思うのは、渥美清の存在で、どことなく「異分子」なのだ。

当時の渋谷実監督の『つむじ風』でも、渥美は異分子的だった。それが、後に松竹を長く支えるのだから、不思議なものである。

なにせ、60年前の映画なので、健在なのは、佐々木功、大村崑、芦屋小雁、そしてアイ・ジョージくらいなものだろう。

環三千代は、普通のサラリーマンと結婚して引退したが、すでに亡くなれているようだ。

衛星劇場

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