今年最後に見た映画だが、大変良かった。
主演が佐藤江梨子と八嶋智人で、二人のキャラクターをよく生かした、これ以上の適役はないのではと思わせる。
原作は、豊田四郎の映画『夫婦善哉』で有名な織田作之助で、『秋深き』と『競馬』だそうだ。
脚本西岡琢也、監督池田敏春。
中学の理科の真面目な教師・八嶋が、北新地のクラブ・ホステスの佐藤に惚れ、プロポーズする。
実家仏壇屋の商売物の位牌を差出し、「一緒に仏壇に並べましょう」と言うのだから笑えるが、佐藤は快諾する。
意外にも佐藤が家庭的で、二人は幸福な新婚生活になる。
だが、それは佐藤の乳がんで壊れる。
そして、八嶋は、園田競馬場で背中に大きな刀傷を持つヤクザ佐藤浩市と知り合う。
入院するが、佐藤江梨子はがんの手術を拒否する。それに応えて、八嶋は全財産をつぎ込み、ありとあらゆる療法・薬を買い、佐藤に試す。
乳がんの手術を拒否する理由が不明だが、佐藤江梨子の綺麗な乳房を切らないためと言われれば納得できる。
最後、佐藤江梨子は死んで、八嶋も後を追おうとするが、江梨子が事前にしていた策で、八嶋は死なずに済む。
勿論、佐藤浩市は、佐藤江梨子の昔の男であったことも明かされる。
イギリス流の風俗喜劇を目指していた織田作之助なので、最後はすべて円満に解決されると思っていたら、その通りになる。
佐藤江梨子の女性としての可愛さに惚れる映画である。
こんなにいい女優だとは知らなかった。本当に驚いた。海老蔵は、別れたことを後悔しているに違いない。
横浜黄金町、シネマ・ベティ。