『白い肌と黄色い隊長』

始まる前に、「一部二重焼きのところがあります」との断りのアナウンスがあり、何だろうと思うと、冒頭の日本語のスタッフ、キャストの紹介タイトルの上に英語のそれが重なっている。

だが、そこだけで後の本編には問題なく、これは何かと思う。英語版だとすると、字幕が出ないのは不思議である。

                      

題名は、ややエログロ的だが、脚本の猪俣勝人も監督の堀内真直もまじめな人なので、煽情的なものではなかった。

話は、インドネシアのスラウエシ島のカンピリにできたオランダ人女性収容所長として山地こと大木実が任命されてくる。

彼は下士官だが、所長として収容所の本部の担当官杉浦直樹の理解を得て待遇改善に努力し、ついにはオランダ女性たちによる自主管理にさせる。

こんなに柔軟な考えの軍人がいたかと思うが、彼は元はサラリーマンだったようだ。

次第に戦局は悪化し、戦闘員の士気向上のためと上官の山茶花究は、彼女たちを慰安婦にせよと命令する。

島には慰安所があり、中国人娼婦の国景子らがいて、親父の殿山泰二からは、女を増やしてくれと頼まれている。

山茶花に大木は反論し、「貴様は上官の命令に逆らうのか」と詰問されるが、そこに本部の司令官笠智衆が現れて、慰安婦化は阻止される。

その他、かつての同僚水兵の内田良平からは、「白人を抱いているのだろう」と言われるなど、大木は良い目を見ていると思われている。

そして、戦後の戦犯裁判の経過が挿入され、一審で死刑を判決され、それに従容として従うという大木に対し、弁護士信欣三は、

「日本に戦争の責任はあったとしても、ここで裁かれているのはあなただけの罪なのだ」

そして、多くの女性が除名嘆願し、再審が行われて無罪になる。

彼女たちが助命運動に押し掛ける裁判所の外観は、今もある横浜地裁である。

実は、冒頭に絞首刑になるシーンがあり、最後まで大木も有罪になるのかと思っていたら、これは一般論の例示であり、その太った男は、この映画の製作の長島豊次郎というおふざけだった。

音楽は木下忠司で、主題歌のギターは伊部晴美、歌は「オリエンタル・カレー」で有名なトミー・藤山のようだ。

                                                 

フィルムセンター

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