『富士山頂』

石原裕次郎23回忌で放映された映画。
「こんな企業映画はくだらい」と公開時は見ず名画座では絶対に上映されない映画なので、初めて見る。
富士山頂に気象レーダーの設置に苦心する気象庁技師、受託業者らの苦労話で、三菱電機と大成建設の宣伝映画とも言えるが、意外にも面白かった。

原作は気象庁の担当課長であった新田次郎、脚本国弘威雄、監督村野鉄太郎。
主演は石原裕次郎、山崎努、宇野重吉、神山繁、浜田光男、勝新太郎、田中邦衛ら。村野は、娯楽職人監督と作家監督の中間のような存在だったと思う。
女優は少なく、裕次郎の妻の星由里子のみ。

現在の資料によれば同事業は、「一社選定の随意契約」というきわめて異例の契約で行われたそうで、今日では「官製談合」であり、手放しでは喜べない事業だったようだ。
だが、日本の一時代を画した事業だったことは間違いない。現在は、気象衛星で不要になり、撤去されている。
今回の放映ではカットされたのかもしれないが、このレーダーが必要とされた、伊勢湾台風等の記録や時代の描写も欲しかったと思う。

音楽が黛敏郎だが、いつもの黛の通奏低音がない。
サブで付いている肥後一郎と言う人が実際は書いたのだろうか。

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