シネマヴェーラのサニー・千葉特集。
ご存知のとおり、1978年の『宇宙からのメッセーッジ』は、『スター・ウォーズ』の大ヒットを受けて、日本公開の前に作ってしまった時間差攻撃映画。
滝澤馬琴の『里見八犬伝』をヒントにして八つの宝石を持つ8人の勇者によって宇宙の悪摩大王成田三樹男らと、千葉真一をはじめビッグ・モロー、真田広之らが、姫の志穂美悦子の下に戦って勝つ。
まるで衣装が時代的で大いに笑えるが、よく考えてみれば、ハリウッドのスペースオペラも時代劇みたいなものだから、それでも良いともいえる。
音楽は山岡賢一郎だが、戦闘シーンなどになると、ショスタコビッチの『交響曲第5番』のような響きになるのがおかしかった。
もう1本の『東京大地震マグニチュード8・1』は、テレビの木曜ドラマシアターというよみうりテレビの番組で、1980年に作られたもの。
東京湾の海底で激しい地割れが起き、地震学者根上淳らは相模トラフでの大地震の可能性を予期し、閣議にも上げるが、対策は決まらなくて様子見になる。
首相は、佐々木孝丸で、その他細川俊夫、伊豆肇、小山源基、増田順二、岡田英治などベテラン役者の総出演。
主人公はツアーコンダクターで、恋人の織田あきらに逃げられた竹下景子と岡田英治の秘書の千葉真一。
二人は、偶然に新宿の旅行代理店にいて、地震に遭ってしまう。
孫と田舎に帰るために店に来た老婦は、なんと葦原邦子で、彼女のドラマ出演としては、最後の方だろうが、地震による瓦礫の下敷きで死んでしまう。
相当大げさに新宿の高層ビル街の破壊を映像化しているが、3・11でも、ビルそのものの崩壊や、ガラスの破砕、割れた窓ガラスからデスクや人間が飛び出るといったことはなかったが、ここでは現実化される。
自衛隊員の柴俊夫は、避難場所にヘリで降りたとき、我先にと殺到してきた群集に殺されてしまう。
いろいろあるが、最後千葉真一は、現場にいても何もせず、空論をもてあそんでいる政治家の岡田英治に失望し、秘書を辞め、地道に被災者救援に行くことを示す。
脚本は笠原和夫と下飯坂菊馬で、監督は西村潔だったのは、さすがと思った。
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