『女競輪王』

際物映画で有名な新東宝の作品、日本最初の全裸となった(と言っても後ろ姿だが)前田通子の主演作の一つ。
確かに、顔は馬渕晴子(東京ガスのCFで妻夫木に嫌味を言っているお婆さん)に似た清純派だが、体は大きく、そのアンバランスがセクシーである。
彼女は、新東宝に入る前は、三越にいた。池内淳子も三越で、当時三越は美人の巣だったのか。

話は、千葉の魚屋の娘の前田が、女の競輪選手になり、新人として頭角を現し、最後はダービーで優勝する、言わばスポ・コンものである。
途中には、男子選手の沼田曜一の誘惑やインチキ社長江川宇礼雄の八百長などがある。
面白いのは、最後のレースで前田が勝つベテラン選手が阿部寿美子であること。この人は、俳優座の女優だが、こんな映画に出ているとは知らなかった。
彼女を破って優勝したとき、新しい新人たちが前田のところに来る。
前田を祝福するのは、原知佐子(当時田原知佐子)で、これは『イブのすべて』だなと思う。
彼女は優勝すると、婚約者の杉山弘太郎との平凡な生活を望み、選手を辞めてしまう。まだ、女性の幸福は、幸せな結婚というイデオロギーが強かった時代の産物なのだ。
音楽飯田信夫、撮影鈴木博と、監督の小森白は新東宝の中堅監督だが、一応一流のスタッフの仕事。
日本映画専門チャンネル

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