山本富士子の歌は聞いたことがあるが、見たことがなかった作品。
原作は、菊田一夫のラジオドラマらしい。監督は、島耕二。
山本富士子が姉妹の二役を演じる。
大阪の綿布問屋の長女で、父親の小川虎之助に代わり店の仕事をやっている長女の山本。
そこに電車で知り合った興信所の職員の菅原謙二が追っかけて来る。
左前になりかっている店のため、山本は東奔西走する。そこに証券会社社長の山茶花究らの好色漢が、融資をえさに山本に近づき、それを撃退するのが劇の中心。
山本には、恋人の品川隆二と駆け落ちした次女がいて、菅原は妹探しも引き受ける。品川は悪い男で、妹の山本は生活に苦労して、キャバレーで歌手をやっている。ここで、歌が歌われるが、本当に山本富士子が歌っているようだ。
名古屋の金持ちの息子で川崎敬三も出てきて、親父の見明凡太郎が融資を餌に店を乗っ取ろうとしていることを教えてくれる。
最後、菅原が株で当てた金で店の借財はなくなり、山本富士子に求婚して終わりと思うと、山本は山本でも妹の方と結婚したいとのことで、姉の山本富士子は独身で終わるという結末。
まだ、天下の美女・山本富士子さんは、結婚させられなかったのである。
この次に出た『細雪』でも、山本は三女の雪子を演じるが、ここでも結婚せず、映画は極めて不自然で、曖昧な終わり方になる。
大映にとって、山本おふじさんをどう結婚させるかは、大問題だったことがよく分かる。