『倖せは俺らの願い』

1957年、日活作品、監督宇野重吉、主演はフランキー堺と左幸子、民芸映画社なので、滝沢修、清水将夫、波多野憲など民芸の役者が出ている。
話は、製鉄所のフランキー堺と食品会社の左幸子が、4年間貯金して家を建てる。
そこに左の遠い親類の子供4人が、「父親が死んで身寄りがなくなった」と頼って来る。
「4年間待ったのに冗談じゃない」と予定通り家で式をあげる。
そこでうたわれるのが、「倖せはおいらの願い」である。
労働歌が、ヒットした時代で、他にも「原爆許すまじ」など。
もう1曲、「お婿さんは、何とか、お嫁さんは何とか」と言う曲も歌われるが、これは知らなかった。

ここでもフランキー堺と左幸子は、結婚まで純潔を守っている。
右も左も性的道徳は保守的だったのである。
これが破壊されるのは、前年にデビューした石原裕次郎による「風俗革命」からになる。
作品としては、この2曲の恥ずかしさを除けばきわめてよくできた人情話である。
さすが宇野重吉。
最後、一度は捨てた子供たちを二人が捜し、再会するところは涙が出た。
鶴見、川崎の埋立地でロケしているが、周囲は空き地ばかり。
神保町シアター

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