日本映画専門チャンネルの高橋恵子特集。
監督の帯盛迪彦は、偶然見た『大学番外地』と言うのが愚劣だったので見ず、「高校生シリーズ」も、正・続の『高校生ブルース』は凡作だったが、この『高校生心中・純愛』は、面白かった。
関根恵子の同級生・篠田三郎の家では、過激派シンパの兄・金子研三が刑事の美川陽一郎を殺してしまう。
高校を中退し、田舎で働きに行く篠田に関根はついて行き、押しかけ女房のようになるが、
「今日からは、兄妹でいよう」と二人は純潔を誓う。
家出捜索願いが出て、関根は家に戻り、篠田は警察に逮捕される。
関根の父は大会社の社長の加藤武、母親は荒木道子で、文学座勢。
新人の金子研三らもコミで、安く使っているのだろう。
要は、大会社の令嬢関根恵子と殺人犯の弟篠田三郎の身分違いの恋の悲劇である。
と書くと、吉永小百合・浜田光男の名作『泥だらけの純情』を思い出すだろう。
間違いなく、もとねたにしているに違いない。
最後は、『泥だらけの純情』と同じく、北国に行き二人は清いまま心中することが示唆されて終わる。
この半年後の1971年10月、増村保造は、関根恵子主演で名作『遊び』を撮り、大映は終了する。
その意味では、『遊び』の準備をした作品とも言える。
関根は、『遊び』について、
「大変だったが、これであらためて女優をやろうと思った」と特集で語っているが、戦後日本の映画の最後の女優高橋恵子を作り出したのも、やはり増村保造なのであった。
金子研三は、黒テントにいたが、最近は明治座などで商業演劇の演出をやっているようだ。是非、がんばってもらいたいと思う。