女優南美江が亡くなった、94歳。
最近、大分悪いとの話だったが、大往生だろう。
先日亡くなった北林谷栄が、民芸一筋だったのに対して、南は文学座から雲などを経て、最後は円にいた。
上品で気高い婦人が役どころで、三島由紀夫の『サド侯爵夫人』が代表作だろうが、私は見ていない。
映画にも多数出ているが、中では薬師丸ひろ子主演の角川映画の名作『Wの悲劇』の劇団幹部女優が最高である。
公演直前の劇団総会で、彼女は言う。
「妊娠や今度のスキャンダルなど、最近の子は、みんないったいどうしちゃったの!」と。
だが、看板女優で薬師丸を庇う、実は自己保身の三田佳子に反論される。
その台詞がすごい。
「あなた、女使わなかった? 私は、使ったわ! そのどこがいけないの!」
ここは、内田稔の劇団総務といい、皆適役で最高のシーンだった。
思わず、「大統領!」と言いたくなった。
彼女の出演の記録を見ると、結構マイナーな映画にも出ている。
斉藤耕一監督、岸恵子主演の『約束』で、岸に付いてくる女看守だったと思う。
これも昔1970年代に見たきりなので、是非見て見ようと思う。