昼間、フィルム・センターの豊田四郎特集で『若い人』を見たのち、新国立劇場で井上ひさしの『箱根強羅ホテル』を見る。
『若い人』については、2チャンネルの「豊田四郎ら風俗映画作家を評価しよう」に書いたので、そちらを見てください。
『箱根強羅ホテル』は、戦争末期箱根強羅ホテルにソ連大使館を移し、そこでソ連を仲介者として連合国との和平工作を広田弘毅ら外務省の連中が画策した事実を題材としている。勿論、日本との中立国ソ連は、欧州戦線では連合国側であり、ヤルタ会談で日本参戦を約束してしまう。
いつものとおり、井上の芝居はとてもおもしろい。辻蕃長、段田安則らの役者もいい。観客にいやに不細工なおばさんが多いと思ったら、主役の一人が元宝塚の麻実れいだったが、これもいい。
だが、私には何か不満というか、素直に感動できないところがあぅた。
最後は、井上の天皇制批判に収斂してしまうことと、結末はどうにも変えられなかったむなしさ、になってしまうからだろう。