1964年、坂本九のヒット曲で作られた大映映画、ただし坂本は、最初と最後に警官で出てくるだけであり、話は倉石功、姿三千子、堺正章、高橋元太郎ら十代の若者と、ヨット会社の経営者宇津井健との対立である。
例によって若者は、「大人はわかっていない」と不満を言い、大人は「今の若い連中は礼儀も常識も何もない」と批難する。
それを銀座のマラソン大会で決着しようと、日比谷公園に提唱者の宇津井と倉石らが集まって、銀座を走るのが始まり。
そこには、なんと人間国宝の中村鴈次郎まで参加しているのは、笑える。
その他、村田千枝子、清川玉枝、潮万太郎らのいつもの連中の他、宇津井に惚れる女事務員で、滝瑛子、その義理の兄に玉川良一が出ている。
おかしいのは、町の空き地で、子供の遊び場を宇津井が区から払い下げを受け、従業員の寮にしようとし、それを阻止し、児童公園を倉石ら若者が公園にしようとすること。
言ってみれば、黒澤明の『生きる』の再現である。
勿論、倉石らが勝ち、宇津井も理解を示して無事公園が竣工する。
ここで興味深いのは、『幸せなら手をたたこう』は、その歌詞の民青・歌声的な内容から、作はいずみ・たく、永六輔だと思っていたら、違うことだった。
この民青的歌声運動の持つ欺瞞性は、共産党のみならず、保守勢力からも同意を得られるものだったということか。
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