このところ、集中豪雨で被害が出ているようだが、私が遭遇した災害で一番すごかったのが、昭和33年9月の狩野川台風である。
東京大田区池上に住んでいたが、呑川が完全に氾濫し、夕方には床下が川になってしまった。
いつまでも水が引かないので、ついに母親と子供5人で家の中の箪笥等家具、畳をすべて二階に上げた。父は職場から帰れず、不在だった。
「火事場の馬鹿力」とはよく言ったもので、箪笥の中身が入ったまま、母と子供たちで二階に持ち上げたのである。翌日、下ろすときは中身を抜いてやったが、その重いことに驚いたものだ。
翌34年には、史上最大の台風被害となった伊勢湾台風が名古屋を襲った。