『岩見重太郎 決戦天の橋立』

今、阿佐ヶ谷のラピュタは、宝塚映画特集で多くの作品が上映されている。
だが、あそこで上映されているのは、中では上の部類に属する作品で、大半の宝塚映画は、この岩見重太郎作品のように漫画的で、低級な娯楽映画だった。

この映画の特徴は、岩見重太郎の嵐寛十郎のほか、月形龍之介が後藤又兵衛、大河内伝次郎が塙団衛門を演じる豪華さにある。
岩見の妹で、敵討ちに来るのが扇千影、岩見の道中に同道する旅役者一座の座長が、宝塚の神代錦と言う具合。
話がご都合主義なのは仕方ないが、セット数を節約したらしく、同じセットでの芝居が何度も繰り返される。
ロケーション場面は少なく、ほとんどがセット撮影で、予定と予算どおりに早く作品を作る渡辺邦男らしい効率的な作劇法がうかがわれる。
どうにも漫画的だと思ったら、原作はマンガブックだった。

岩見重太郎って、戦前は有名な豪傑だったらしいが、吉川英治の『宮本武蔵』が出てからは、人気をなくしたようだ。
話や構成がよく似ているからだ。
勿論、吉川英治も、岩見重太郎の話も十分参考にして『宮本武蔵』を書いたのであり、その意味では大衆的人気の作品の延長線上に作られたと言えるのだろう。
衛星劇場

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