小林旭の「女の警察」シリーズの系列につながる1本だが、主人公の名前が違っているのは、原作料を払わない対策なのだろうか。
東京のクラブの引抜き屋で、旭のボスが加藤嘉であることは同じだが、ここでは妾の子となっており、この二人はなかなかいいコンビ。
加藤は、自分で新しい店を開くため、旭に内田良平がやっている店から女をスカウトさせる。
雇われマダムの松井康子をはじめ、沢知美、長谷川照子、渋沢詩子、藤田憲子などテレビタレントや二流女優が多数出てくる。
当時ピンク映画の女王だった松井康子が出てくるのは珍しいが、彼女は元は日活の女優だった故のことだろう。
例によって、旭がモテスギだが、一応家庭も持っていて、妻は山本陽子、その他木島一郎、柳瀬四郎、榎木兵衛、雪丘惠介など、昔からの役者も出ている。
1969年9月の公開だが、この頃までは、日活の大半の連中はまだいたのだ。
この時の併映は、浦山桐郎の『私が捨てた女』だったのだから驚く。
最後、内田良平らをやっつけて加藤嘉の社長室に来て、小林旭は初めて本妻との間の娘に会う。
なんと中山千夏。
彼女の性か、音楽が佐藤允彦で、当時の日本映画には珍しく洒落た、筒美京平、バート・バカラック風のストリングスとハーモニーである。
日活末期なので、ベッドシーンも何度も出てくるが、脚本が成沢昌成、監督江崎実生の共に娯楽映画のベテランなので、筋の運びは良く出来ている。
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