夫婦別姓反対論者が見たら仰天 『赤ちゃんに乾杯! 18年後』

本当は見るつもりはなかったが、見ると大変面白かった。
同時に、夫婦別姓反対論者が見たら、仰天し、「だからとんでもない」と怒るに違いないと思った。
前作は見ていないが、その18年後、主人公マリーは18歳になりバカロレアに合格する。
本当の父など3人の中年男が同居してマリーの面倒を見ている。

そこに、母親が、現在のアメリカ人の夫、その息子二人とバカンスに来るので、マリーも行く。
アメリカ人の夫は、異常に元気な健康オタクで、自ら仕切り屋と名乗るが、このフランスのアメリカ人への皮肉な見方は面白い。
一方、男たちにも、それぞれに恋人がいて、その恋愛沙汰も描かれる。

後半は、母親の現在の夫の次男とマリーの恋愛話になる。
いずれにせよ、ここには家は存在していず、男と女、さらにせいぜい子供との生活があるだけで、その子供も10代後半になれば、各自が自立した個人になり、別々になってしまう。だから、どこにも家はない。

もし、日本の夫婦別姓反対論者が見たら、「とんでもない!」と叫ぶに違いない。
だが、勿論問題は逆なのだ。
すでに、1950年代に小津安二郎や木下惠介らが描いていたように、昭和初期以降、次第に日本においても家というものが崩壊したからこそ、ついには別姓にまでに来たのである。
それに対して、夫婦同姓を日本人全員に強制したところで、家の崩壊が食い止められるものではない。
フィルム・センター

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