言わずと知れた日本文学の古典だが、映画化、劇化されたのは、戦後のことで1951年の大映版が最初で、その後日活で作られた武智鉄二監督版も見たことがある。
この鶴橋康夫監督版がユニークなのは、作者紫式部と藤原道長が関係があったとしていること。
道長は、一条天皇と自分の娘彰子の前で式部に物語を語り聴かせることで、天皇を彰子のもとに釘付けにして子を産ませる。
昔から小説は、相手に公開の場で語り聞かせることから始ったことは、『千夜一夜物語』、「アラビアン・ナイト」でも同じである。
類まれなる美しい光源氏は、多くの女性と関係するが、最後は義理の母である藤壺を追い求めるものだった。
その虚無性がこの映画のテーマだが、結構うまく語られていると思う。
当初、源氏役は東山紀之だったらしいが、生田斗真になり、東山は、藤原道長になり、式部は中谷美紀の二人は悪くない。
だが、道長は本当は糖尿病で死んだので、東山のような痩身はおかしいのだが。
藤壺・桐壷が真木よう子なのは、あんまりだと思う。
武智版では、芦川いづみで、気高くて良かった記憶がある。
イマジカBS