1970年、東映で作られた作品で、監督は降旗康男、共演者に東宝から浜美枝、日活から宍戸錠を迎えた高倉健主演映画。
ヤクザ映画と思っていたが、高倉は、ヤクザの大組織大和田組を追求する週刊誌記者。
三流雑誌のトップ屋と言われていて、編集長は小松方正。
大和田組の組長は、水島道太郎で、さすがに良い。
高倉は、決定的な証言を得るために約束のホテルに行くと、相手は死んでいて、殺人犯で、懲役5年。
刑務所では、『網走番外地』でお馴染みの由利徹と知り合い、笑わせてくれる。
刑期中に、妻の岩本多代も不審な事故死し、水島は病死したという。
そこに、高倉と浜美枝が邂逅する。
なんと浜美枝は、水島の愛人の娘であり、また水島は生きていることも分かる。
高倉健が、水島の墓を暴くという「トンデモ」的なシーンもあるが、全体として抒情的でメルヘン的なトーンはなかなか良い。
降旗康男は、監督2作目の『地獄の掟に明日はない』で、美しい抒情性を見せたが、ここでも八木正生の音楽を含めたセンスは良い。
勿論、最後は高倉健が、水島以下を倒して終わる。
因みに宍戸錠が、日活以外の映画会社に出たのは、これが最初だそうである。
ラピュタ阿佐ヶ谷