これは、すごい映画である。
ただし、この映画の主演は、利休の三国連太郎でも、秀吉の山崎努でもなく、バックになった寺院や庭園であり、彼らが手にした茶器その他の道具である。
多分、茶器などのほとんどは、国宝級のものに違いない。
そして、こうした本物ということが、役者に緊張を与え、素晴らしい演技を生み出しているのである。
そんな贅沢な映画作りができたのは、勿論1989年というバブル最絶頂期だったこともあるが、この作品の監督が勅使河原宏であることがあった。
勅使河原は、勿論華堂の草月流の家元の息子であるのだから、彼の力なくして、門外不出のお道具や、本物の寺院、庭園を使って撮影することはできなかったと思う。
華道に嵯峨御流が、茶道に武者小路流があるように、これらは天皇や貴族の社会から生じたもので、日本のセレブと大変関係が深いのだから。
無邪気な権力者秀吉の山崎努と茶人であると共に、秀吉のブレーンであった知識人利休の三国との対立を描くもので、秀吉の母親の北林谷栄が最高である。
また、この二人のキャラクターには、草月流において絶対者だった父勅使河原蒼風の姿も投影されているようにも思える。
美術は、映像京都の西岡善信
NHKBS
コメント
Unknown
武者小路千家は、単に京都の武者小路に家元の住居・庵があったことにちなむ命名ですから、天皇や貴族とは関係ありません。
草月流も嵯峨御流と直接の関係はありませんから、「華道に嵯峨御流が、茶道に武者小路流があるように、これらは天皇や貴族の社会から生じたもので、」との記載はおかしいと思います。
勅使河原宏が個人として「日本のセレブと大変関係が深いのだから。」というのは事実ですが。
そうですか
コメントありがとうございます。
昔、パシフィコ横浜で「生け花インターナショナル世界大会」があり、このとき勅使河原宏がベッドに寝ながら、多分生前最後の大きな講演をしました。
この大会の時も、誰だか宮様がお見えになったので、生け花界全体もそうだと思っていましたが。