『真夜中の顔』

1958年9月に松竹で公開された作品だが、歌舞伎座の製作。

歌舞伎座も、映画を作っていて、歌舞伎座プロとされたのもあるが、基本的には歌舞伎座の製作で、これは失業した左翼独立プロのスタッフを使って時代劇を作ったのが始まりだが、各社が二本立てになったので、添え物作品を作るようになる。

歌舞伎座と松竹は同じだと思う人もいるかもしれないが、松竹は歌舞伎座の筆頭株主だが、一応別会社であり、歌舞伎座は二部上場の会社である。

             

脚本は新藤兼人、監督は宇野重吉で、三国連太郎が主役の新聞記者だが、他はほとんど民芸の俳優。

女優はバーのマダムの水戸光子の他、中川弘子、桂木洋子など、松竹の女優である。

つまり、民芸と松竹が一緒になって添え物作品を作ったということである。

話は夏の銀座のバーに数人の男がきて飲んでいるが、暑いので涼みに行こうと、桂木と中川を連れて船で東京湾に出ていく。

銀座のすぐ近くから桟橋があり、船が出ていたのは事実で、その実景は貴重な映像である。

そこに三国連太郎が来て、彼は桂木の愛人だが、有夫の彼女との仲を諦めて大阪に行くという。

さらに、中川が駆け込んできて、桂木が船から落ちて死んだという。男たちも戻ってくるが、彼らは救助に行けないという。

それは、紳士の若原雅夫は、有力政治家の息子で、他の下元勉、下條正巳、宮坂将嘉らは役人で、要は密談をしていたことを公にできないと言う。要は汚職だが、中身は明らかにされない。

彼らは、ヤクザの梅野奏靖らを呼び、バーにいるものを外に出さずに、桂木の死は事故死だと皆を脅す。

黒幕の滝沢修が来たり、桂木の夫の信欣三が酔って乱入してきたりなど、いろいろある。

最後、滝沢は梅野らの始末を若原に命じ、最後それを知った梅野に若原は殺されてしまう。

朝、警視庁の刑事の小沢栄太郎が来るが、これも梅野を追っ払うための滝沢の指示なのである。

一体、事件の真相は明らかになるのだろうかの疑問で終わり。

最後のアクションシーンがあまり上手くないが、一応演劇的な面白さはあった。

衛星劇場

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