1963年、伊豆急行の延伸をバックにした地方の話。
実際は、城ヶ島など三浦半島で撮影されているようだ。
電車の開通を前に、地元のバス会社の社長河津清三郎は、レジャー施設を作って儲けようとし、不振のバス事業は手放しても良いと考えている。
バス運転手に山本豊三、車掌に仲宗根美樹や加賀まり子、芸者に牧紀子と特出の江利チエミ、食堂の娘に榊ひろみなど、一応当時の松竹の美人女優。
男も、山本の他、河津の小学校からの同級生で医者が志村喬(その娘が弘田三枝子)、榊の店に下宿している新聞記者に吉田輝男、仲宗根の兄で、東京から戻って来て穂積隆信の不動産会社(実はヤクザのところ)にいるのは宗方勝己、喫茶店の店主が古今亭しん朝と結構なメンバー。
話は、ヤクザが地上げをしてホテル等を作ろうとするのに対し、女性が独立美人隊を作って戦うというもの。
言って見れば松竹版のヤクザ映画だが、大船作品なので、ヤクザに切り込む高倉健はいないので、問題は平和的に解決される。
この時期の松竹映画には、吉田喜重の『血は乾いている』や、この映画のように会社が経営危機になる話がある。
まるで、自分たちには関係がないと言うように。
だが、松竹映画は、渥美清の死によって、大船の土地を売り、映画制作から撤退することになるとは、誰も思っていなかったのだろう。
監督の市村泰一は、それなりの作品を作るが、見る者に何かを残すという監督ではなく、テレビの転身されて活躍される。
阿佐ヶ谷ラピュタ