前回の「小津安二郎映画、絶対映画説」で使った写真の右端は誰だ、とコメントがあったので、書く。
松竹の女優だった牧紀子で、小津映画では、遺作の『秋刀魚の味』で、笠智衆が監査役をやっている会社の秘書役で出ている。
ある日、笠智衆に退職の挨拶に来て、「結婚するので辞めます」と言う女性である。
この頃、女子職員は、結婚したら会社をやめることが当然のことだった。
これで、笠智衆は、娘の岩下志麻も、早く結婚させないとまずいなと思うようになる。
牧紀子は、美人女優だったと思うが、やや台詞に難があり、松竹では大成できなかった。
彼女は、篠田正浩の監督デビュー作『恋の片道切符』にも出ていて、ここでは看護婦だが、小坂一也、佐竹明夫、さらに平尾昌明とも関係する女性を演じている。
私が見た範囲では、これも岩下志麻の主演作だが、『100万人の娘たち』という宮崎が舞台のバスガイドの映画があり、ここでは宮崎から上京し、横浜で港湾関係の現場で働いている活発な女性を演じている。これのGパンをはいてアクティブな女性は結構魅力的に見えたものだが。
さて、1968年、日活の小林旭主演で、『女の警察』があり、彼は、銀座のクラブの女のスカウトや引き抜きをやっていて、「銀座の警察」と呼ばれている。
中で、富豪のエロ親父の加藤嘉の女が牧紀子で、「あいつは河童締めなので、絶対に探してきてくれ」と頼まれる。
この河童締めは、なんなのか最初に見た1960年代当時は、よくわからなかったが、これは「ミミズなんとか、やカズノコ天井」のことらしい。
そして、小林旭は、牧紀子を探し出し、もちろん性交し、
「オヤジが言った意味が分ったよ・・・」という。
すると、牧は「私が、そんな女であることが恥ずかしい」と宣うのである。
当時の日本の女性は慎みがあったんだね。
その後、潮吹きとか、いろんな特殊性を言う女性が出てきたものだ。