1962年、中平康が監督した高橋英樹主演の日活作品、他に和田浩治、葉山良二、和泉雅子、山内賢など日活青春アクション映画。
原作は、柴田錬三郎で、映画の中で冗談で葉山良二が、高橋英樹から名を聞かれて「眠狂四郎」と答える。
現代劇の『眠狂四郎』であり、高橋英樹、和田浩治、山内賢らの大学生が、汚職を繰り返してきた中高年の連中を懲らしめる内容になっているが、特別な意味はない。
中高年は、清水将夫、三津田健、安部徹らであり、彼らは戦前から汚職を繰り返し、富を独占して来たことになっている。
この時期、柴田錬三郎には、ジェームス・ボンドのようなアクション小説も書いていて、それは石原裕次郎主演の『夜のバラを消せ』になっていてる。
そこでも裕次郎が、悪の親玉の東野英治郎に騙されて悪人の手先になっていたが、最後は東野を殺して自己を回復する筋書きだった。
全体として、まったく大したことのない映画だが、ここにもみなぎっている、当時の若者の戦後世代の、「戦前の中高年世代は間違っている」というテーゼは明確である。
それは、黒澤明の映画『悪い奴ほどよく眠る』で、三船敏郎と加藤武が、戦前世代役の森雅之、志村喬、三津田健、藤原釜足らに復讐するのにも強く見られる。
言うまでもなく、石原慎太郎の『太陽の季節』のラストで、
「お前さんたちには分からない!」
と叫んだのも同じであり、それが戦後世代の叫びだった。
その慎太郎の叫びが、未だに通用していることは信じがたいことである。
民主党や自民党を「古い」と言っている石原慎太郎は、60年前と同じことを言っていることになる。
だが、すでにそれは橋下徹からは、ある種の古臭さを持って受け取られているのは当然のことである。
チャンネルNECO