『東京五輪音頭』

1964年9月12日、つまり東京オリンピックの開催直前に公開された、便乗映画で、タイトルで三波春夫の『東京五輪音頭』に合わせて、浴衣姿の伯母さんさんが踊る。

    

話は、築地の青果の仲買人上田吉二郎と孫娘の十朱幸代、その使用人の山内賢、違う店の和田浩治、料亭の娘の山本陽子らの青春映画。

十朱幸代と山本陽子は女子大生で、十朱は、水泳の自由形の選手で、五輪候補、山本は家業で和服姿で踊るシーンもある。

監督は、元はベテラン俳優の小杉勇なので、それぞれの役者に合わせて役を上手くふってあり、十朱幸代の水着姿もあるが、この時から彼女は背が高いので、水着が似合う。

別にコエンザイムの性ではないだろう。

三波春夫は、彼の従兄弟という設定で、本物そっくりの寿司屋で出てくるのは笑えるが、こういうのは昔はよくあるもので、気にならない。

問題は十朱幸代の水泳を父の上田吉二郎が反対していることで、息子がマラソンの選手で若死にしたためだが、もちろん最後は折れて十朱は晴れて五輪代表選手になる。

そして、最後は体育館での三波春夫の『東京五輪音頭』の発表会で、テレビが中継し、フロアでは数千人の浴衣軍団が踊っている。

ここでは、『俵星玄蕃』も披露されていて、大変楽しめる。

泉麻人によれば、小学校の運動会で踊らされたとのことで、大ヒット、大キャンペーンの歌だったことがわかる。

この直前に日活で公開されたのが、吉永小百合、浜田光夫の映画『愛と死を見つめて』で、これは市川崑の『東京オリンピック』が公開されて大ヒットするまで、日本映画史上の最高のヒット作品だった。

また、オリンピックのテレビ中継で、全国の映画館はガラガラだったそうだが、唯一当たっていたのが勝新太郎主演の『座頭市血笑旅』だった。

チャンネルNECO

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