『活瓣時代』 御園京平(岩波書店)

『地球防衛未亡人』を見た後、伊勢佐木町を歩いているとチャリティー古本市をやっている。

600円と安かったので買い、夜阪神が巨人に惨敗したゲームを見つつ読んでしまう。

低めの変化球が得意の能見が高めにストレートばかりを投げているのだから、打たれるのは当然である。

なかなか面白い本で、特に御園さん自身がサイレント映画を見ていて幼いころから弁士に憧れ、芸能事務所にいた経験もあるので、記述が豊富で正確である。

横浜の歴史の大家であり、元港湾局の田中常義さんは、いつも「原典、原資料に当たれ」とおっしゃっているが、その通りである。

最後にトーキーになり、弁士が失職した後の経歴が面白い。

徳川夢声、牧野周一、大辻司郎、大蔵貢らが有名だが、小津安二郎映画によく出てくる北竜二も元は弁士であった。

早稲田や銀座にあった全線座を経営した樋口旭琅という人もいたようだ。

歌手の前説の元祖西村小楽天も弁士からの転向組である。

因みに彼らは弁士といわれるのを嫌い、映画説明者と称したのだそうだ。

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