野村芳太郎監督の『砂の器』は、世評ほど良い映画とは私は思えない。
その中で、主人公で作曲家加藤剛の婚約者山口果林の父親が、国会議員の佐分利信である。
佐分利から加藤剛は次のように言われる。
「英良君も有名になると、これからは大変だな、誰が味方で、敵かもわからないからな」
それに対して果林は、「芸術と政治の世界とは違うわよ」と言うが、加藤剛は言う。
「人間のやることだ、どこの世界も変わりはない」
今回の小保方晴子さんの昨日の記者会見を見て思うのは、科学の世界も人間の社会だろうということだろう。
もし、彼女の発見が嘘だとすれば、彼女は凄い役者か、とんでもない異常者である。
ただ、科学の世界の常識を覆すような発見をしたとすれば、やはり普通の常識とはかなり離れた人間だということであろう。
でなければ大発見はできなかっただろうと思う。