一部で評価の高い中平康監督で、「洒落た」作品とのことだが、今見るとかなり痛々しい。
タイトルで、旗照夫がシャンソン風の唄を歌うように、フランス映画のようなシャレた作品のつもりだろうが、昭和30年代の貧しさが目についてしまう。
真面目な男葉山良二と、軽薄な色男岡田真澄との対比、それぞれが定期券を落として女性と付き合うという古典的なナンパ法で付き合う女性が、南田洋子と
月丘夢路。
葉山は、自分の弟が定期を落として軟派しようとするのに困ったこととして南田に謝罪しに来たことから始まる。
女性は二人ともデザイナーだが、月丘は銀座に店を構えているの対して、南田は渋谷の住宅地に自宅と兼用の店。
葉山の下宿で、南田と二人で摂る朝食が、小さな塩鮭を半分づつ七輪で焼いてと言うのが笑えるが、その辺が当時の実情だろう。
有閑マダムの細川千賀子と山岡久乃、金持ち娘の中原早苗、ゴロツキの草柳幸二郎などいろいろと出てきて面白いと言えば面白い。
だが、脚本が八木保太郎という日本を代表する重厚で真面目シナリオライターの性か、全体として統一されていないように見える。
最後、葉山・南田の真面目派が上手くことが暗示され、岡田や中原のいい加減派は将来がないに見せるのは、保守派八木保太郎のセンスだろうか。
靴磨き少女で刈谷ヒデ子が出ているのは珍しい。
刈谷は、当時大人気の少女スター、歌手だったが、スタイルが急速に悪くなって消えた。
よく「刈谷デブ子」と言われていたものだが。
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