ホリエモン騒動の裏で、成瀬巳喜男の『おかあさん』が放映されていた。
主人公香川京子の妹は「どこかで見たことがあるな」と思うと榎並啓子だった。
この榎並は、溝口健二の名作『山椒太夫』で安寿の子供時代を演じた人で(厨子王は津川雅彦)、名子役の一人だったようだ。
榎並が成長してからは、香川京子になる。この『山椒太夫』や『近松物語』での香川京子はとても良く、鬼の溝口からも合格だったようだ。
津川が青年になってからは、花柳章太郎の本妻の子で大根だった花柳喜章で(愛人の子の花柳武始の方が役者としてははるかに上だった)、下手なので彼が出世して山椒太夫の奴隷達を解放するところが、ひどく浮いて見える。
解放された奴隷が、酒池肉林のごとき狂宴をするところがひどくおかしい。
アメリカ映画の『十戒』でも、エジプトを脱出したユダヤ人の一部が解放を喜び、やはり酒池肉林の騒ぎを起こすが、解放された人民は、そうした無知蒙昧な行動をするものなのだろうか。
『おかあさん』は、東京城南地区の蒲田を中心に蓮沼、女塚、糀谷あたりをロケし、当時沢山あった沼、池、どぶ川が出て来て、同地出身の私としては大変懐かしい感じがする映画である。
恐らく、松竹蒲田撮影所出身の監督成瀬の実感でもあったのではないかと思う。
コメント
榎並啓子について
2011/10/16、NHK放映「おかあさん」を観て‥‥榎並啓子という女優に興味を持ち、他にどの様な映画に出演しているかと検索して、本ページにたどり着きました。成人して女優にはなっていないようですね。役柄にしては大人びた、面長な顔立ちは印象に残ります。
榎並啓子は
榎並啓子は、データーでは、木下恵介の傑作『日本の悲劇』にも出ているようです。
気がつきませんでしたが、今度見るときに気をつけることにします。
木下、成瀬、溝口と名監督に使われた名子役ということになりますね。
『夜の終わり』にも
榎並啓子は出ていました。主人公で殺人犯になってしまう池部良の上司志村喬・本間文子夫妻の娘でした。
ネットで出て来た『日本の悲劇』のキャストの説明では、若草の子役となっていたので、大人になってからは止めたのだと思います。