相当な意味不明映画だった。
制作、脚本、監督の森弘太は、大映助監督の出.
学生時代大島渚らの影響を受け、また三井三池炭鉱の争議を取材し、大映を退社して自主映画として、この作品を作った。
夏の広島で、主人公灰地順が原爆と安保闘争で失踪した2人の男を探す。
内容はさっぱり分からず、結末もはっきりしない。
ただ、夏の広島をうろつくだけ。
『暗殺』での武満徹の音楽ような、一柳慧の音響デザインは衝撃的だが、内容は全く弛緩している。
言うまでもなく、アラン・レネの『24時間の情事』に影響を受けている、あるいは受けた振りをしているが、残念ながら中身はない。
この「無意味映画」が、将来意味を持つとすれば、広島の当時の路面電車と、大田川周辺にあった大規模な「原爆スラム」の映像がふんだんに出てくることだろう。
映画史的に見れば、『仁義なき戦い・広島死闘編』の舞台になった現場のスラムの実像である。
森監督は、その後はよくテレビの脚本を書いていたが、今はどうされているのだろうか。少々気になるところ。
川崎市民ミュージアム