池野成について


先日水上勉追悼上映で『越前竹人形』を見た時、タイトル・バックの音楽を聴いて、即座にこれは池野成だろうと思ったら、やはり池野だった。ネットで探してみるとCD『池野成の映画音楽』が出ているので、注文した。

聞いてみると、『白い巨塔』のラスト、前に出たCD『カツライスの映画音楽』の「陸軍中野学校・開戦前夜」の最後のシーンの、ティンパニーの連打と金管の響きによる暗い行進のモチーフがとてもいいことに気がついた。
この辺の感じは、池野の師である伊福部昭、そしてストラビンスキーの影響だと思う。
それにハチャトリアンなどの戦後の社会主義ソ連の興隆の息吹も聞こえてとても面白い。

ハチャトリアンではバレエ音楽『ガイーヌ』の「バラの乙女の踊り」が有名だが、これなどはSP時代から早いテンポの曲として紹介され、まさに「社会主義建設の槌音」のように聞こえたものだ。
しかし、本当はとてもゆったりとしたバレエ曲で、随分と表現を歪めていたわけであるが、この堂々たる行進のような曲調もとてもいいのである。

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