1976年の斎藤耕一監督作品で、石原裕次郎の最後の出演映画になった。
もともと、斎藤は東映をへて日活のスチールマンで、石原裕次郎の親友だったので、松竹作品にも出たのだと思う。
出たといっても、主人公中村雅俊の兄で、最初と最後のシーンに出てくるだけ。
欧州を放浪してきて帰国した精神科医の中村は、横浜の変わった病院に勤務する。
そこは、開放病棟方式で、患者は自由に外へ出て活動している。院長は佐分利信で、病院を経営しているのは岡田茉莉子。
中村は、佐分利の家の離れに住むことになると、風変わりな娘の原田美枝子が部屋に入ってきて、「必ず亜理葉子(五十嵐淳子)を好きなる」と予言する。
五十嵐は、ほとんど完治しているはずなのだが、なぜか「病院に置いてくれ」としている娘である。
筋は、中村と五十嵐の間の関係で進むので、要は五十嵐淳子が好きか嫌いかで、この映画を見る意味は決まっってしまう。私は好きになれないので、ほとんど面白くない。
六本木のバーの二階で中村は五十嵐を抱くが、まったく五十嵐には拒否も何も反応がない。ただの不感症のようにしか見えない。
最後、中村雅俊は五十嵐淳子に求婚して結ばれる。また、佐分利は、戦争中に満州で中国人を材料に人体実験を行っていたことがわかる。
音楽にうるさく、ジャズにもご造詣の深い斎藤耕一なので、青山八郎の映画音楽は快い。
チャンネルNECO