『最後の女たち』

社会党が映画を作っていたなどとは初めて知った。

日本社会党文化委員会製作で、製作者は佐藤観次郎。

中央公論の編集者でもあった人で、子の佐藤寛樹も議員だったはずだ。配給は新東宝。監督は元東宝の楠田清、撮影は中沢半次郎と東宝クビ切られ組。

話は、サイパン島の敗北戦のことで、主人公は河野秋武・利根はる恵夫妻、医者の信欣三・忍節子夫妻である。

米軍の猛攻撃で、逃避行をする中で離ればなれで行方不明になった夫の河野は死んだと思い、利根はしっこく付いてくる兵士の佐野淺夫とできてしまってたが、河野と再会する。

だが、利根の告白を聞き、河野は妻を許すことができない。

一方的に逃げるだけなので筋は単調になるが、脚本はベテランの八木保太郎なので、見ていてつまらなくない。

最後、河野と利根は和解し、信と共に「戦争を憎みます」という。

大群衆は、兵に率いられてバンザイクリフに行き、「海ゆかば」の大合唱の後、皆は海に入るか、岬から飛び降りて死ぬのである。

信じがたい戦闘だが、日本軍は国民を守る軍隊ではなかったことがあらためてよくわかる。

このサイパン島の陥落は二つのことをもたらす。

東條英樹内閣の崩壊であり、さらにB29による日本本土爆撃である。

川崎市民ミュージアム

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