ブラジルではアストラッド・ジルベルトの『イパネマの娘』を知らない

イレーネ・松田先生によれば、日本に来るまで、LP『ゲッツ・ジルベルト』からシングル・カットされ世界的に大ヒットしたアストラッド・ジルベルトの歌った『イパネマの娘』をブラジルでは聞いたことがなかったそうだ。

そりゃそうでしょ。
あのレコードは、ジョアン・ジルベルトのポルトガル語の歌とスタン・ゲッツのサックスの演奏がメインで、アストラッドが歌いたいとうるさく言うので仕方なくアストラッドの英語版の歌も録音した。
ジョアン・ジルベルトは、アストラッドの歌を発表する気は全くなかった。
だが、彼に無断でスタン・ゲッツとアメリカのヴァーブ・レコードは勝手にアストラッドとスタン・ゲッツの版で出してしまったのだ。
だから、ブラジルではアストラッド版は出されていない。

ボサ・ノバでは、アメリカのレコード・ビジネスを知らないブラジル人を「騙して」アメリカのレコード産業は大儲けをしたそうだが、その中の一つである。

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