『生きている孫六』

1943年、『花咲く港』につづく、木下恵介の監督二本目の作品。

戦意高揚というか、食糧増産と旧弊打破をテーマとした作品だが、やや筋書きが不明確ですっきりしない作品で、飯島正の批評では低く評価されている。飯島正は、かなり公平な批評家だったが、黒澤明にはやや甘く、反面木下惠介には厳しかったようだ。

孫六というのは、言うまでもなく名刀関の孫六のこと。

三河の三方ヶ原で、昔本物と知らずに売ってしまい孫六を求めている医者の細川俊夫と、1本所持しているという軍人の上原謙が出会い、農民と見えて実は刀鍛冶の河村黎吉のところに行く。

川村は上原の剣を一目見て、「これは孫六ではない」と断言する。

怒った上原は、試し切りをするが、なんと藁を切ると刀は折れてしまう。

河村は言う、新刀に古い刀を接いだ偽物だと。

上原は、出征することになり、河村に新しい刀を打ってもらい、「これで米英のへなちょこなど切ってやる」と勇む。

近代的な武器の殺傷力とその物量で勝敗が決まってしまう近代戦を知らない無知蒙昧で、犠牲になった国民は悲惨そのものである。

いろいろあるが、最後は皆解決されてめでたしめでたし。三方ヶ原に若者集団の鍬が入れられて食糧増産に向かう。

ここには、戦後は井川邦子になる河野敏子が出ているが、やはり美人は目立つ。

衛星劇場

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コメント

  1. ウィーダ より:

    追伸
    洋画贔屓の私に目に悪いの代表格の邦画を押し付けてンじゃないわよ。洋画好きに失礼。

  2. ありがとうございました
    最後の河村の台詞は
    「これなら、アメリカの兵六玉を2,30人切っても刃こぼれしない」でした。
    白石さんから教えて頂きました。