横浜シネマリンで、ヘルッウォーク特集をやっているのを知ったのは、つい最近でなんと今日までなので、見に行く。
「船頭多くして船 山に登る」があるが、これは船を山に揚げる映画である。
昔、関内の関内アカデミー劇場で見たが、実はよく分からなかった。アマゾンの奥地にオペラ劇場を造ろうとする男が主人公だが、なんでアマゾンの奥地にオペラ劇場を作るの? 西欧文化の侵略にすぎではないかと思い見てて愉快ではなかった。
今回見直して、監督は西欧文化を無批判に肯定しているわけではなく、主人公フィッツラカルドの無謀な壮挙をかなり相対化して描いている。また、現地の人間たちを下に見てもいない。
中古船を何とか山の上に引き上げ、降ろして川に係留するが、インディオは、船の舫を切ってしまい急流に流される。
その意味は、その船が急流を流れ下れば、悪霊を退治できると信じていたからで、その期待からインディオたちは引き上げに協力したのだ。引き上げについても、急流下りについてもほとんど特撮は使っていず、実写で撮っているのがすごいと感じた。
最後、船上で行われるオペラの実演。
蓄音機で何度も再生されるのはエンリコ・カルーソーで、SP初期に一番売れたのは、エンリコ・カルーソーだったのだ。
『問いかける焦土』は、1991年の湾岸戦争によって荒廃させられて砂漠の石油施設などの自然破壊を詩的に描くもの。
最後、燃え上がる石油の井戸を国際消火チームが様々な手段を駆使して火を消す。
湾岸戦争は、アメリカの石油産業をバックにしていたジョージ・W・ブッシュ大統領によって起こされた戦争だが、それを消すのも元はといえばアメリカの石油産業である。
バックに掛かるワグナーなど世紀末の破滅への音楽、ヘルッウォークは詩人だなと思った。
横浜シネマリン