『キューバの恋人』

1969年、キューバ革命10周年を記念して作られた日本・キューバの合作映画。大変経済的に苦労してできた作品のようだ。

漁船員の津川雅彦がハバナに着く。
彼は女にしか関心がなく、恋人を求めキューバを旅するが、革命に燃えているキューバ女性とはすれ違うという話。

1960年代の一番革命運動が世界的に燃え上がり、ゲバラ主義も強かった時代の産物で、若きカストロの演説も出てくる。
だが、この映画と言い、後に黒木が高橋和巳の原作から作った『日本の悪霊』と言い、革命や政治を題材とした黒木作品は良くない。
唯一成功したのは、「新宿ゴールデン街映画」といわれた『竜馬暗殺』だけだろう。
政治への姿勢が曖昧なのだ。

題名も、「キューバの恋人」ではなく、本当は「キューバは恋人」、あるいは
革命は恋人」だが、恋人からは振られる、と言うことだろう。

地方都市の祭りのパレードで、「座頭市」の扮装をした男が、仕込み杖を振り回すシーンがある。
キューバでも映画『座頭市』は公開されて人気だった。
世界的に、特に途上国で座頭市は大変人気があり、アジアはもとより、アラブ、ラテン・アメリカでも上映されたそうだ。
アメリカや欧州では人気がなかったのは面白い傾向だが、アメリカでも黒人向け映画館では上映されてヒットしたとの話もある。
座頭市、勝新太郎がすごいのは、あの愛嬌であり、そこはいくらタケシが対抗しても全く敵わないところである。

いつもの黒木映画の、松村禎三のチェンバロを中心とした音楽が美しく悲しい。
フィルム・センター

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コメント

  1. こんにちは
    はじめまして^^

    私の芸能サイトで

    こちらの記事を紹介させて頂きましたので

    ご連絡させて頂きました。

    紹介記事は

    http://newstoday0001.blog95.fc2.com/blog-entry-632.html

    です。

    これからもよろしくお願いいたします^^

  2. ブラボー より:

    勝新の座頭市
    まったく同感です

  3. 『キューバの恋人』

     キューバを舞台にした映画ということで、以前から気になっていた作品。 ドキュメンタリー映画監督であった黒木和雄氏が、1966年に念願の劇場映画の第1作として撮った『とべない沈黙』の3年後に作られた、黒木監督の劇映画第2弾。 キューバ革命10周年を機に、キュー….