強い雨と風で外に出られないので、前にも見たが松方弘樹の1969年の『秘剣破り』を見る。
言うまでもなく、市川雷蔵の名作『薄桜記』のリメイクで、脚本も伊藤大輔先生なので、ほとんど同じである。
監督は、池広一夫で、松方の丹下典膳の相手役の堀部安兵衛は、本郷功次郎と、雷蔵と勝新に合わせた配役になっている。
松方は、よく演じていると思うが、雷蔵の悲愴美がないのは仕方がないだろう。
全体に、雷蔵版に比べれば劣るが、最後の殺陣は松方版の方が良い。
名優市川雷蔵の唯一の欠点が体の脆弱さからくる殺陣の問題だが、大柄な松方の方が殺陣の迫力がある。
そして、妻役の岩井友美の初々しさは非常に良い。大映の時代劇でもっと使えばよかったと思うが、岩井家は元が松竹なので、無理だったのだろうか。
この映画の問題は題名で、丹下は別に秘剣を使うわけではなく、意味不明である。
この1960年代末、松方弘樹は、東映から大映に移籍したと記録にはあるが、タイトルを見ると東映と書いてあった。
専属は変えず、レンタル移籍のようなものだったんだろうか。
衛星劇場