午前中、京浜急行が信号故障で電車が遅れ、開場ぎりぎりに着くと、『チョコレートと兵隊』は全席売り切れとのこと。
お目当てだったのだが、仕方ないので、『花つみ日記』を見ることにして神保町で時間を潰す。
レコード社に行くと、1970年代に出たLP『漫談・ボーイズ全員集合』が、戦前、戦後共大変きれいな状態の2枚組みがあるので、買う。
何しろ、戦前篇には、染井三郎、国井紫香、井口静波、山野一郎らの活弁、「あのね、おっさん」の高瀬実乗まで入っているのだから貴重盤である。
1939年の映画『花つみ日記』は、世界中でかつて日本のみにあった「女学生文化」という不思議なものをよく現している作品である。
原作は、勿論吉屋信子、監督は石田民三、主演は高峰秀子で、蘆原邦子が特別出演の他、清水美佐子や、後に加藤治子となる御舟京子などが出ている。
制作は、青柳信雄で、市川崑と毛利正樹が助監督の東宝京都作品。
大阪の女学校に、東京から清水が転校してきて、高峰秀子とすぐに仲良しになる。
そして、二人を初め生徒たちが皆憧れているのが、蘆原邦子の歌が上手な先生である。
蘆原邦子は、当時では異例の男らしさで大人気だったが、確かにナヨナヨとしたところの全くない、きりっとした姿である。
今で言えば、天海祐希のような感じだろう。
彼女は、これも少女趣味の総本山中原淳一と結婚して引退し、戦後はテレビのホームドラマでは上品な母親を演じていた。
高峰と清水は、「天国でも一緒よ」と誓い合うが、些細なことから仲違いし、「絶交」し、高峰は女学校を中退して、家業の置屋から舞妓に出てしまう。
この絶交というのが、戦前の女学生文化である。
だが、清水の兄が、出征し、彼に千人針を高峰が作って上げたことから、二人はまた仲直りする。
大阪の戎橋だろうか、その上で高峰らが千人針を求めるところは、ビルの屋上からの隠撮になっているのが当時の撮影としては珍しい。
吉屋信子の女学生趣味や、日本国民すべてのアイドルだった高峰秀子も、巧みに戦意高揚映画に取り込まれて行った作品である。
この時の出征は、勿論まだ日中戦争であり、太平洋戦争ではなく、どことなくのんびりした余裕が感じられるが。
神保町シアター
コメント
Unknown
>世界中でかつて日本のみにあった「女学生文化」という不思議なもの
そうでしょうか?
「ピクニック・アット・ハンギングロック」(1975、豪)や、「制服の処女」(1931、独)などを見ると、当然ながら日本のそれとは同じではないものの、「女学生文化」があるように思いますが。
日本の特殊性は
日本のは、西欧への強い憧れがあるところが特殊だと思います。
この映画で見れば、冒頭のバズビー・バークレー風の女生徒の校庭掃除、キリスト教、女声コーラス、フランス人形等の西欧趣味があります。それが後半は、一転して長唄や踊り、そして高峰の舞妓姿、千人針と日本的なものになっていくことに大変上手に時代が表現されているように思えます。
Unknown
お久しぶりでございます。
相変わらず岡田則夫門弟として頑張っております。漫談ボーイズ全員集合U+203Cを買ったのでございますか。それは貴重ですね。私も探していますがなかなか見つかりません。師匠はそのうち見つかるよと言ってくれましたが…。演者 演目などを教えていただけないでしょうか。
いちいち書くのも大変なので
私も、このLPについて中村とうようさんから話を聞き、30年たってやっと入手できました。
なるべく早く、CDRにコピーして送りますので、お待ちください。
Unknown
またくわしい事はメールを下さい。私も引越し等々忙しいのでお手数ですがまた師匠のいにしえ文庫に送って下さい…。
私は昔、知り合いに譲ってもらったシャンバローなどがありますから交換として渡すのはどうでしょうか。
戻って来てしまいました
さっきメールしたのですが、戻って来てしまいました。
正しいアドレスを送ってください。
Unknown
機種変更をいたしましたのでお伝えしなくてすみません。
yarinaoshi.daihon@gmail.com
に連絡下さいませ。