『記念樹』と平野恒

近年のメディアの進化の中で、一番予想と違ったのは、UHFだろう。
1970年代は、VHFが全国に普及したので、次はUHFだと大騒ぎだった。
だが、全国はどうなのかよくわからないが、UHFで存在感を示しているのは、神戸のサンテレビくらいで、タイガースのお陰だろう。
その結果、UHFは、昔の番組の再放送メディアと化しているのが実情だと思う。
その中で、千葉テレビで毎日『記念樹』が放映されている。
言うまでもなく、TBSで『木下恵介劇場』の一つとして放映されたもので、東宝で内藤洋子主演の映画『あこがれ』にもなっている。
これは、戦前に中村愛児園を始め、今日の横浜女子短大にまでなった法人の、あかつき子供園を題材としたものだ。
ここを作った人は、平野恒という女性で、1980年代は横浜の自民党婦人部のボスだった。
通称「ヒラツネ」という方で、大柄で行動的な人だった。
「議長、いる?」と言って、門番の私がいるのに無視して、ドンドン議長室に入って行かれる。

そして、『記念樹』では、この園長を高杉早苗が演じている。
高杉は、ダンスホールのダンサーから女優になった人で、桑野通子と同様非常に大きくてスタイルの良い女優だった。
彼女は、後に歌舞伎の市川段四郎と結婚した。
高杉の感じは、平野さんの風貌によく似ていると思える。
ちなみに、平野恒さんの父親は、神奈川の自由民権運動で活躍された人だと聞いた。
さすがである。
映画『あこがれ』は、恩地日出夫監督の中では、『伊豆の踊子』とならび、傑作だと思う。
ここでは、園長は小夜福子が、保母は新珠三千代が演じている。
一番の見所は、田村亮の母親の乙羽信子が、横浜の大桟橋からブラジルへの移民船に乗り見送りのシーンがある。
そこで乙羽信子の横で、名演技をしているのが、去年亡くなられた東宝の俳優の加藤茂雄さんである。

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コメント

  1. yroom より:

    j.comだと千葉テレビが見られるのですね。うちの有線では見られません。「記念樹」はYouTubeで第1作と第2作を見ました。1966年の放映時には見ていたはずですが、今回見てまさか横浜の保育園が舞台だとは思いませんでした。記念樹は馬淵晴子が結婚した時の国府津の家に園児たちが植樹したという設定だったのですね。モデルの高風子供園は今でも本牧にあるようです。ちなみ私は中村愛児園に通っていました。原田芳雄が出ている回があるようですね。

  2. あれはやはり、本牧なんですね。
    ときどき、根岸、磯子の埋立てが見えて、あるいはと思いましたが。

  3. 先週、終わりました。
    最後は、馬渕晴子が住んでいた小田原の家が火事で焼け、桜の木も燃えてしまいます。
    ところが、園に元いた子供たちが来て、新しい桜の苗木を贈るものです。
    そこには、吉田日出子、津坂雅明、樋浦勉らがいて、彼ら当時の若手俳優が出ていたことがわかります。

  4. 『記念樹』は終わりましたが、今は『今年の恋』をやっています。
    これは、加藤剛と栗原小巻で、映画では吉田輝雄と岡田茉莉子でした。
    加藤の家は、白楽あたりらしいので、横浜や東横線が出てきます。

  5. 『今年の恋』は終わって、今は『女と刀』になりました。