武蔵小杉駅前で、もやし山から麺を救出した後、川崎市民ミュージアムに行き、『若親分凶状旅』を見た。
『若親分』シリーズは第１作しか見たことがなく、今回監督がご贔屓・森一生なので、見ることにした。
話は、若親分・雷蔵が海軍時代の友人の自殺の原因を解明し、海軍武器の横流しを暴くと言うものである。
ロケ地は、『ニワトリはハダシだ』の場でもある舞鶴。森は新興キネマ時代から撮影所の近くでロケをさせられていたそうで、ここでも京都に大変近い舞鶴である。
森らしく、そつなく作られているが、大映末期の悪条件下のため、一度殺された五味竜太郎が最後にまた殺されたり、雷蔵が全く切っていない渡辺文雄が倒れたりする。恐らくＮＧ、再テイクが許されなかったのだろう。
最後は雷蔵の味方になる女やくざがテプコおばさん・江波杏子で、雷蔵が「女がこんなやくざ稼業をやっているのは良くない」と諭すのがおかしい。当時江波は『女賭博師』シリーズが大ヒットしていた訳で、それへの皮肉に聞こえた。
悪人が永田靖、渡辺文雄、垂水吾郎らで、俳優座・民芸等の新劇勢は映画では必ず悪人である。
吉永小百合・浜田光夫の『泥だらけの純情』でも、滝沢修が対立する組のやくざの親分だったし、浜田の組の親分はこれも築地小劇場とも関係があったという平田未喜三である。
市川雷蔵の人気は大したもので、いつもはガラガラの会場がかなり埋まっていた。