『下谷万年町物語』

下谷万年町とは、現在の台東区北上野になるが、ここは明治時代は、四ツ谷鮫ケ橋、芝新網と並び、東京3大貧民窟と横山源之助の『日本の下層社会』には書かれている。
その万年町は、同時にオカマの巣だったそうで、唐十郎作、蜷川幸雄演出の『下谷万年町物語』は、期待にたがわぬ感動的な芝居である。

幕開き、唐十郎を思わせる詩人風の中年男が、万年町と浅草のひょうたんいけ池についてぼそぼそと呟き出す。
そこから、藤原竜也と西島隆弘が現れ、ついには池の中から、浅草レビュー小屋の踊り子・キティーの宮沢りえが登場する。

総ては詩であり、詩人が夢見た夢であるとも言える。
筋書きは、戦後の昭和23年に警視総監が視察に来て、帽子を盗まれた実話を発端とする万年町と浅草に関する話だが、そんなことはほとんどどうでも良い。
宮沢と藤原と西島の3人の思いが激烈に交錯する劇である。
台詞が時としてわかりにくいので、筋を辿れない方も多く、私の隣の藤原竜也ファンの若い女性は、二幕目では何度もコックリされていた。

個人的には、宮沢りえの素晴らしさには、文句はないが、もう少し分かり易く台詞を言った方がさらに感動的だったと思う。
初演の西武劇場(パルコ劇場)のは、見ていないが、音楽も初演当時のような、昔のアングラ風で、これは少々意外だった。
役者では、六平直政が最高に面白かった。

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コメント

  1. piro より:

    「リエ」はともかく、「秀哉」って何処からでてきたの?w
    ×宮沢リエ ○宮沢りえ
    ×西島秀哉 ○西島隆弘

    http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/12_mannencho/cast.html

  2. さすらい日乗 より:

    ありがとうございます
    直しました。
    2,000円とプログラムが余りに高くて大きいので、買わなかったためです。