1969年の松竹映画、尾崎奈々とビレッジ・シンガーズが主演の作品。
この頃の松竹大船はグループ・サウンズ作品が多数あり、ここにはオックスも出ているが、ジャガーズの『敵前上陸』などもあった。
脚本は、斉藤耕一と広瀬譲だが、監督の斉藤の意志が強く出たようで、きちんとした筋はほとんどない。
スチールのような美しい尾崎奈々やビレッジ・シンガーズの遊びの映像が展開されて、そこに音楽がかぶさるという趣向。
一応、田舎から尾崎を自分の恋人と言い張る藤岡弘が出てきて、それを否定する尾崎との間の葛藤がドラマだが、それを漫画雑誌編集者の香山美子が、漫画家の藤岡と一緒に話を作るという楽屋オチも絡んでくる。
尾崎と藤岡が、田舎で恋人だったというのは本当で、最後、尾崎と藤岡は、二人が育った田舎の村に行く。
と村は荒野になっていて、かつての美しさはない、別に原発が爆発したわけでもないのに。
一応、当時問題だった公害、開発等の罪悪が言われるが、そんなものどこに意味があるのだろうか。
唯一の価値は、今はない大船のドリームランドが出てくることくらいだ。
大船撮影所から近かったので、当時の松竹映画には、ドリームランドがよく出てくる。
尾崎を記憶喪失にするのは、目つきがおかしく異様な感じの尾崎奈々には合っているが、それもあまり発展しない。
こんなつまらない作品ばかりで、呆れたのか尾崎奈々は、松竹京都撮影所のカメラマンの石原興と結婚して引退した。
大変賢明な生き方だったと思う。
衛星劇場