1978年、根岸吉太郎の監督デビュー作品。
出演者は、ヒロインの山口美也子の他、夫に戸浦六宏や大学教授に高橋明、刑事に木島一郎など結構豪華な配役。
原作は勝目梓、シナリオは、いどあきおで、この作品はかなり期待が高かったようで、雑誌『シナリオ』に脚本が掲載されていた。
初めてこの評判の高い作品を見たが、年上の夫の戸浦を、山口とその愛人が殺してしまうところの描写が曖昧で、ミステリーとしては大したことはない。
山口は、黒テント演劇センターにいた女優だが、こんなにグラマラスだとは知らなかった。
ロマンポルノでも助演が多く、主演は少ないのではないか。
黒テントからは、中島葵がロマンポルノによく出ていたが、ガンで早く死んでしまった。
先日見た『森は濡れた』の伊佐山ひろ子と山谷初男は、劇団俳優小劇場の出身で、風間杜夫も、そこの研究生だった。
同様に、長谷部安春の『暴行』シリーズで有名になる蟹江敬三は、元は劇団青俳の役者で、蜷川幸雄と共に、現代人劇場、桜社と移行した。
1970年代の旧来の新劇劇団の混乱や解散は、日本映画界への俳優の供給に大いに貢献したとも言えるだろう。
ただ、高校生(とても高校生には見えないが)の加納省吾とストリップ劇場で出会う亜湖(現中村亜湖)との関係は、不思議なムードがあって面白い。
亜湖は、正体不明の少女で、二人の関係は、1970年代的で、藤田敏八の『妹』秋吉久美子や、『赤い鳥、逃げた?』の桃井かおりの不定感に似ている。
全体としてはどうということのない映画だが、1970年代のある種の雰囲気を描いている点では価値がある。
しかし、1970年代というと、もう40年以上も前のことなのだから驚くしかない。
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