関西で働いている次女に休みが取れ帰郷してきたので、希望で歌舞伎を見に行く。
2年前の正月にも新橋演舞場で新春公演が非常に面白かったとのこと。
地下鉄で行くが、東銀座駅からそのまま歌舞伎座タワービルの地下に入れるようになったのは大変良い。
100年以上の松竹の歴史の中で、これは最大の功績だと思う。
演目の最初は『春霞歌舞伎草子』という出雲の阿国と名古屋三山が会ったという幻想劇で、きれいなだけだが、こうしたレビュー劇が本来の歌舞伎だった。
二つ目は『実盛物語』で、相当におかしな話だが、本来は人形劇の文楽なので許せるが、人間が演じると少々おかしい気がする。
娘が借りたイヤフォーン・ガイドは、大学の劇団の大先輩になる水落潔先生がやられていた。
食事後の『大石最後の一日』は、真山青果の『元禄忠臣蔵』の一つで、大セリフ劇だが、やはり眠ってしまう。
これは映画『琴の爪』にもなっているのだが、一度見てみたい。いつもながら、松本幸四郎は声が低くて、演技が暗い。
二度ほど、どこかで着信音が鳴っていた。
最後は、片岡仁左衛門で『お祭り』
「待ってました!
待ってましたとはありがてえ」の威勢だけの芝居だが、仁左衛門は元気に踊っていた。
『実盛物語』での菊五郎の孫の登場と同様に、ここにも仁左衛門の孫が出てくる。
政治の世界では世襲が当然だが、世襲についてはこちらの方が本家である。
ジョンレノンと小野ヨーコが来たことだけが売りの喫茶店で休むと、ブラジルのシルビア・テリスのことを歌った『ジンジ』が掛かっていてうれしくなる。