なぜ専業作家は300人で十分か。

これには根拠がある。
実は、私も某音樂雑誌に20年以上原稿を書いてきたが、その雑誌のライターの90%は音楽専門の人間ではなく、他に仕事を持っている者である。
言わば、皆好きな趣味として様々な原稿を書き、その集積が雑誌になっている。
それで十分なのではないか。何も専業作家のみが、傑作を書くとは限らない。
ある趣味の人間が、好みの分野につきいいものを書くことはいくらでもある。
そうしたあり方が、成熟した社会での文化。芸術のあり方ではないか。
野球にたとえれば、本当に天才的な選手はドラフトにかかりプロ選手として巨額の報酬を受ける。しかし、草野球から少年野球、高校野球まで様々な楽しみ方があり、ファンがいる。
本当に優秀でプロとして通用する人間は、一軍300人に絞られてしまう。それでいいのである。
今の日本など「物書き」と称する人間が多すぎる。アメリカでも作家専業の小説家は極めて少ないはずだ。皆ジャーナリストだったり、大学の先生だったり、研究者だったりする。日本のように日本語という狭いマーケットで本が売れなくなり、出版業が不況になるのは当然なのだ。

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