1952年7月、宝プロでの加藤泰の監督作品。「加藤が、こんなものを作っていたの」という感じの音楽喜劇。
清水港に次郎長の子分になりたいと若者の大泉滉 がやってくるが、桂春団治の次郎長はパチンコばかりやっていて、一家に入れてくれない。
石松の沢村国太郎や吉良の仁吉の加東大介らが、子分にさせようといろいろ工夫する喜劇だが、かなりいい加減な脚本で、美ち奴の歌やヤクザノ連中の踊りが入ったりする。
山茶花究、坊屋三郎、芦の屋雁玉・林田十郎、そして広沢寅造が出る。現存のフイルムのタイトルは『寅造の清水港』になっている。
これは、想像するに山茶花究、坊屋三郎、桂春団治らが所属していた松竹系の劇場で公演されたレビュー劇の映画化ではないかと思う。
その証拠に、各章ごとに、第一課、第二課等のタイトルが出ることで、これは舞台の一幕、二幕から来たもののように思う。
唯一、加藤泰らしいところを探せば、大泉の許嫁の林加壽恵が女性なのに力持ちで大変に強くて黒駒勝蔵との出入りで大活躍し、弱い大泉らを助けることで、後の藤純子の『緋牡丹博徒』にも通じるものだろうか。
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