1960年代後半になぜか松竹が作った怪獣映画で、監督は次の不思議映画の『昆虫大戦争』も作った二本松嘉端である。
富士山の麓に国際研究所があり、そこに濃縮ウランが運ばれて来て、そのエネルギーでロケットが宇宙に発射される。
搭乗員は、和崎俊也、園井啓介、柳沢真一の他、外人女性がいてペギー・ニール。
火星を目指していたらしいが、途中でUFOから物を発射される妨害があり、予定を変えて月の基地に着陸する。容易にできてしまうのが変だが、そう未来のことでもないらしい。また、ロケット推進が原子力と言うのがまことに凄い。原子力ロケットと言うのは北朝鮮でも開発していないと思うが、当時はすべて未来は原子力と信じられていたことがよくわかる。
基地には、和崎と恋仲の研究員原田糸子がいて、ペギー・ニールと三角関係的になるのが松竹らしい。妨害物を調べると何かの卵で、これを地球にもって帰り調べると、未確認の物質で、外人女の説明によれば、超高音の真空中で生まれた物質だという。そんなことがあるのかと思ってはいけない。まあ、百歩譲って生命が誕生した時には、深海など超高温、超圧力で生まれた微生物もあるのだから。
男の研究員など、外人も多数出てくるが、全員日本語を器用にしゃべるのは当時の日本映画の常識。
ともかく、この卵を富士の研究所に持ってくると急きょ孵化して、怪獣になる。これがギララで、形は完全にニワトリ怪獣だが、なぜギララと言うのかはわからない。
小津映画の老人の北竜二が防衛軍の司令官でまじめに命令をしているのが非常におかしい。ギララは、エネルギーが大好物なので、関東を北上し、福島の発電所から原発も襲って体も増大させる。この辺は、3・11と原発事故を想起させるが、監督の二本松は、福島の二本松氏の末裔なのだそうで、お殿様と言うわけである。
そして、ペギーの説だと、ギラニウムなる卵の欠片から精製した新物質を当てれば対抗できるだろうとのことで、作るには超真空が良いとのことで、宇宙船で精製して地球に持ってくる。宇宙での精製と言うのは本当で、スペース・シャトルでもやっている実験の一つである。
最後、ギラニウムを搭載した自衛隊の戦闘機が富士山に来たギララにギラニウムを発射して退治できる。まるで、石鹸に包まれた巨大ニワトリだが。
研究所所長の岡田英次のいつもの冷静な台詞が、何事も起きていないようで非常におかしい。
チャンネルNECO