小選挙区制は日本に相応しくない

「ビデオニュース」は非常に面白いが、先週は「選挙結果について」で、慶応義塾大学の小林良彰教授の選挙結果分析はさすがに的確で、今回は「現状維持」だったとのこと。

若者の保守化が言われるが、アベノミックスのでたらめさ(これも河村小百合さんの回の時に的確に指摘されている)に誰も気づかず、とりあえず株は高く(日銀が常に買い支えている)、日銀が国債を多額に買っていて好景気だと思われているので、若者も「これでいいだろう」と思っている。大卒の就職率も良いので、安部政権に反対する理由はない。

だが、今回の選挙でも、自民党は30%程度の得票数で、70%の議席を得ている。要は、膨大な死票が出ているのである。

小選挙区制は、比例部分を大きくしない限り、膨大な死票が出るので、これは大問題である。

小林教授によれば、小選挙区制は、ご本家のイギリスでも二大政党制にはならなくなっていて、保守党、労働党の他、自民党や地方政党があり、オーストラリアやカナダでも二大政党制ではなくなっている。

唯一、二大政党制なのはアメリカだが、それには二つの理由がある。

小選挙区制は、大きな違いを一つにしてしまう制度だが、アメリカのように民族、宗教、文化等に大きな差異がある国や地方では、その差を一つにしてしまうのには有効なこと。

だが、日本には社会に大きな差異性があるだろうか。ないと言って良い。横浜でもほとんど区によっての政党の差異性はほとんどなく、どこも各政党の支持者が混在している。

さらに、小林教授によれば、アメリカでは地域によって大きな違いがあることだ。

先生が留学していたデトロイトでは、市中心部は自動車産業の労働者のエリアで、民主党支持だった。対して郊外のホワイトカラーの多いエリアでは、共和党支持者が多かった。だから、双方の地域では選挙をやっても、結果は一方的で死票は出なかったのである。

しかも、現在の投票率は50%そこそこだが、かっての中選挙区時代は、軽く60%を越えていたのだ。つまり、小選挙区制は日本になじまないのである。それは、中選挙区では、1,2、3位はともかく、4,5位は激戦になるので、そこへの投票が上がるとのことだった。

では、どうすれば良いのか。比例区部分を増やすことが第一だろうが、死票を減らすためなら小選挙区の結果で、50%以上を1位の候補が取れなかったら、上位1、2位で決戦投票をするという方法もある。事実、現在でも地方の首長選の場合は、一定の得票が1位でもない場合は、再選挙の規定があるのだから。

自民党が制度を変えないのは現状が有利だから当然としても、野党もなぜ反対しないかと言えば、2009年の民主党の勝利の経験があるからだそうだ。

私は、結局20年やってみて良くないのだから、変えた方が良いと思う。

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