『花嫁立候補』

2011/01/26 19:52

1955年に東宝で公開された作品だが、クレジット・タイトルがなく、冒頭にこの放映用に作られたらしいタイトルが出る。始まると映画のダイジェストと男子が大勢で体操をしている画面が続くので、多分ここにスタッフ、キャストを入れて焼き込んだのだろうが、その版がなく、最初の原板のみしか残っていないためだろうと思う。

話は、青山京子の主演で、オリンピックの体操に出て、今は新聞記者になっていて、同僚は宝田明。社は、都タイムズで、社長は柳家金語楼、貧乏会社で倒産寸前、社員に給料も払えない状況。

青山の父親は古川ロッパ、母親は岡村文子で、金融業、つまり金貸しだが、社長は岡村で、ロッパは番頭である。他に街頭の易者で榎本健一が出てくるほか、金持ちのドラ息子でトニー・谷も出ているなど、エノケン、ロッパ、金語楼の3大喜劇役者に、東宝の大部屋役者を組み合わせたお手軽映画のようだ。

中では、青山の友人として恵みち子という女優が出ていたが、多分アイドルの恵とも子の母親だと思う。恵みち子は、池上にK美容室というのをやっていたが、おそらく米国人との間にできた女の子が恵とも子だと思う。

話は、宝田と青山の懇願で、ロッパと岡村が金を新聞社に貸してやることになり当然のようにハッピーエンド。

脚本は松浦健郎、監督は渡辺邦男、製作は佐藤一郎。

やはり、3人の喜劇王の演技が面白く、それを正面から据えっぱなしで撮っているのはさすが。中では、金語楼に借金取りが押し寄せた時、婆さんの扮装をして逃げるのは18番で笑えた。

ただ、変なのは青山京子がオリンピックに出たと言っているが、後輩の体操選手にインタビューすると、「ロンドンに出る」と言っていることで、製作の1955年の次の大会は、1956年のメルボルンオリンピックなので、どうなのかと思う。この時期は、戦後日本が初めてオリンピックに出たヘルシンキオリンピックの後で、レスリングの石井庄八が金メダルを取るなど、それなりにオリンピックへの関心が高まっていたのだろうか。

何回か、青山京子が肉厚のレオタードで体操を披露するが、NHKのテレビ体操のレベルであり、内村などの現在の床運動とは水準が全く異なる。

衛星劇場

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